「プロ野球」


プロ野球ではストライキの話題で持ち切りだが、委員長の古田に同情を寄せる意見が 大勢のようである。選手として大事な時期にこのような大役を買わなければならない 彼はある意味でボランティア活動とも言える組合の委員長職をこなしながら、 選手活動もしなければならない二足のわらじを履いている。 テレビで見る彼の顔はプレーをしている時とはまったく違う雰囲気で、悲壮感が漂っ ている。高額年俸のプロ野球選手は子供達にとっては夢のような存在で、恐らく、 このような「労使交渉」というような場面は想像したことも無いだろう。 野球の実力とは何の関係もないところでの綱引きは経営者側にとっても始めての 経験で、多くのファンが選手側につくとは思っていなかったのか、企業論理で推し 進めた結果がこのような事態を生むことになったのかを理解していないのが残念である。 「たかが選手の分際で」の一言が波紋を呼び、選手会側を硬化させた一因であるが、 この言葉は労働者全体に投げかけた次元と同じことで、「たかが労働者の分際で」 と言われれば誰だって反発するだろう。 「企業は人なり」と言う言葉があるように、経営者だけでは社会は成り立たないので ある。野球にファンが必要なように企業に労働者は絶対必要条件なのだ。 世の中、リストラ大流行で、簡単に首を切ったり、降格人事を行ったりしているが、 必ずこのしっぺ返しは来ると思う。バブルの崩壊前は東南アジア各国から、現場労働 者を呼んだり、一人の鉄筋工に素人の職人を何人もつけて一括契約をしたり、何でも 良いから人集めをしていた時代からそれほど経っていないのに経営者側の資金運用の 失敗がこのようなツケを労働者に払わせているのだから情けない話である。 専門でもないのに銀行から「もうかりまっせ」と言われたら不動産に手を出して失敗 するし、持つ必要もないゴルフ場経営に資金を出したり、本来の企業理念から逸脱した 経営方針が破綻を来たしたのだが、その責任は全部、労働者に負わせて来た。 今回の件も、資金が無いから経営から身を引くので誰か代わって球団の面倒を見て くれませんか?と言えば良いだけの話である。電鉄収入もデパート運営の困窮も その責任は選手個々の問題ではなく、球団運営にあるのだったら、早々に身売りする ことを考えておかなければならない。「買いましょう」「売って下さい」という企業が あるのなら、何も合併という卑屈な手段を取る必要も無く、素直に従うべきである。 「素人に運営出来ない」とか「歴史が浅い」とか「若すぎる」とか言ってるうちに、 プロ野球機構は益々時代遅れになってしまうだろう。 元々、プロ野球運営の専門家がいた訳ではなく、どこの球団も親元は素人であった はずだ。新聞社にしろ、一般企業にしろ、球団を持つことによるステータスシンボル、 宣伝の価値大だとして経営に乗り出した過去の経緯が証明している。 ライブドアだって、楽天だって若い経営者だが、時代の先読みは今の古い体制に満足 している経営者よりずっと魅力がある。それに、選手と年齢が近いということは それだけ、彼らのことを理解してくれるし、大所高所から一喝ということもないだろう。 一プロ野球ファンとして、是非、子供達の夢はぶち壊さないで欲しいと願っている。
「エッセイ集」トップへ戻る