『金沢の釣り師から2』
須々木 徹記

「釣り逃がした獲物は」

長い間釣りをしていると、ヒットしても釣り上げる事が出来なくて、

悔しい思いをする事があります。一番嫌なのは周りで釣っている外野から

「残念だったね」と、ニコニコしながら慰められる事で、逃がした

ばかりで頭がカリカリして
いるので、内心はむかっとしますが

そこは押さえて、冷静なふりをして聞いています。

自分の下手さ加減に腹が立つのですが、直ぐに何故逃がしてしまったのか

と心の中では反省する事しきりです。

とにかく逃がした魚は大物なのです、大物だから魚の思い通りになり、

結果キャッチする事が出来ないのです。

大物の魚を逃がすには、それなりの原因がある筈です、逃がした原因を

追究する事が大事で、逃がした魚がもったいないのではなくて、

バレタ原因が何なのか、それが二度と逃がさない事につながるのです。

逃がしたスズキを例に挙げると、ヒットして手元まで寄せてきたのに、

タモ入れ寸前に右に走られ、挙句はエラ洗いでハリス切れとなってしまった。

魚のサイズは六十センチ余りで、原因としては磯竿メガドライ2号、ハリスが

フロロカーボン3号なので、ドラッグさえ効いていればハリス切れとなる

事はなかったのに…

実はその前に底がかりしてドラッグを締めたままになっていたのです。

ドラッグが締まったままではハリス切れも当然でした、後の始末です。

反省です、投げて糸ふけをとる時にドラッグが効いているか、必ず確認する

事が必要と云う事を勉強しました。

ある時は前当たり無しに竿を締め込まれ、無意識に竿を持ちリールを巻いて

しまいました。ヒットを確認してリールを巻いていると、魚が向こうに走り

ドラッグが効いて糸が出て行きます、慌てないでゆっくり巻いていると、

案の定エラ洗いをされてしまいました。

針がかりしたスズキは針を外そうとして、特有のエラ洗いをして外そうと

するのです。数回のエラ洗いの後、突然軽くなり手応えが無くなりました。

針がスッポ抜けてしまったのです。原因は針のフッキングが確実でなかったのです。

突然の締め込みで慌てて竿を手に取り、リールを巻いたものだから、

あわせを入れる事を忘れていたのです。

スズキだから何も一回の締め込みがあっても慌てる事はないのです。

ドラッグをある程度緩めておけばどんな締め込みにも耐えられるのですから。

反省、数回の締め込みを確認してから竿をあわせればいいのです、そして

やり取りを始めたらもう一度竿をあおってフッキングを更に確実にする事です。

これでエラ洗いによる針のスッポ抜けを防ぐ事は出来ます。

更にある時には三回目の大きな締め込みがあり竿を大きく合わせると、

ヒットしたのでリールを巻いているとドラッグが緩み、糸が魚の引きに

合わせて出てゆきます。糸の出るのが止まったのでリールを巻き始めた

のですが、途中でスッポ抜けです。

フッキングは確実にしたし、途中でもフッキングした筈なのに何故なのでしょう、

撚り戻しに結んであった筈のハリスが綺麗さっぱりありません。

原因は結び方が悪く魚の引きにハリスがズルズルと抜けてしまったのです。

反省、それまで撚り戻しに一回通していたのを二回通し更に結んだ後に

マニキュアを塗りつける事にしました、勿論、針も結んだらマニキュアです。

マニキュアは固まるのに時間がかかりますが、アロンと違いハリスが硬化しないので

劣化する事がありません。

これでもう逃がす事がないと思っていたのに、またまた超大物を逃がして

しまいました。釣り場について一本目の竿を出し、二本目の竿を出し餌の

ユムシを付け終わり、急に小用がしたくなり、後ろで用足しをしていたら、

ガタンと大きい音がして竿が竿かけから飛びました。

竿かけにはボート用の鉛のアンカーをぶら下げてあるので引き倒される事はなく、

リールが竿たてに引っかかりました。

小用どころではありません、慌てて竿を持ちましたが、魚と竿が一直線では
ラインが持ちません、即座にPライン三号八本撚りのラインが切れてしまいました。

その直後、即座に餌の付いた二本目を同じ場所に投げて、昨年の記録物の

八十八センチを釣り上げました。

反省、ハリスも道糸も傷が付いていないか、点検する必要あり、そして

投げた後はイレポンで釣れる事が多いので、投げた後しばらくは

当たりが出ないか良く見る事です。そして釣り場は離れない事です。

そんなこんなで注意深く釣りをしているつもりでも、釣り始めて時間が

経つと緊張の糸が切れてしまうものです。

そんな時に突然スズキがやって来るのです、竿先の赤い発光ダイオードを

見ているつもりが見ていなくて、糸が急にふけて気が付き、

慌てて竿を取りリールを巻けども軽く、魚がのっている感触がなく、

それでも巻いていると急に竿を叩き始めました。

魚が海側のテトラポットの方向に走っていたのです、テトラに走られると

取り込みが出来ません。左の方向に引っ張ろうと思うのですが、スズキは

必死で外海に逃げ様として結果バラシテしまいました。

私はテトラポットには乗らない主義です、幾ら釣れても危険だからです。

以前にテトラに落ちて亡くなった人を知っています。私も現場から一寸離れた

所で釣りをしていましたが、テトラから落ちて、直ぐにテトラの中に波で

飲み込まれてしまい、発見出来ませんでした。

海が荒れていましたから、警察が来ても、消防団が来ても見えなくなった

人を救う事は出来ませんでした、それ以来、私がテトラに乗る事はありません。

反省、スズキ釣りなんて、何時食うか分からないのですから、竿尻には

尻手ロープをつけて突然の引きに竿を持っていかれない様にする事と、

何時来るか分からないのですが、絶対に竿先から目を離さない事です。

何回も何回も大物を逃がして、その都度反省しながら対策を考え、それ

以来、大物のスズキを逃がす事がなくなりました。

魚釣りは簡単な様ですが、あなた任せの釣りでも、魚の通り道に餌を

置く事、そして食いのたつ時間、そして手返しをまめにする人は

必ず魚を釣り上げる事が出来ます。

絶対に釣ると云う信念を持って釣りをしなければ釣れません。