『魚釣りと喫煙』
永江晃治記

魚釣りをしているとついタバコを吸ってしまいます、釣れないと吸い、釣れると釣れた喜びで吸ってしまいます。

人によってはビールを飲む人がいますが飲酒はいけません、最近は飲酒事故の多発から飲酒の取り締まりが厳しく、

罰金も高いし、下手をすれば免許取り消しなんて事もあるし、それよりも何よりも事故を起したら大変です。

人を怪我させてもいけないし、自分が怪我をしてもつまりません、飲酒して事故を起しても誰も褒めてはくれませんから。

大勢の釣り師が釣り場でのお酒は慎む様になった様です。私は下戸ですから、普段でも一滴も飲まない事にしていて、

忘年会、新年会でも飲む事はありません。

車で夜外出して食事に出かけても、飲んだ事がありません。

ましてや、釣り場で飲むなんて事は絶対がつく位ありえない事なのです。

実際、釣り場で飲んでいる人を見かけると、人事ながら心配になるのは、余計なお世話かも知れませんが、

心配になってしまいます。

私の釣り友達でシーズンオフでも、毎日の様に電話で話ししている、大阪弁の変なおじさんがいます。

変なおじさんなんて云いますが、私には一番の仲良しで、お互いに好きな事を云い合っていますから、

何云われてもお互いに全く気にならない、そんな友達なのです。

この人が釣り場に必ずビールを四本位持って来て、釣りをしながら飲んでいたのですが、私に毎日云われて釣り場では

絶対に飲まなくなりました。

理由は、「毎日釣りをしたかったら飲んではいけませんよ」と云っただけです。

この人は以前に免許取り消しになった事があり、再び免許を取るのに苦労したようでした。

飲酒で捕まり免許取り消しになれば釣りは出来ませんし、事故を起しても釣りを楽しむ事が出来なくなります。

飲みたくても、明日釣りをしたければ、飲んではいけないのです。

変なおじさんの奥さんから飲酒運転しなくなりましたと感謝されました。

ところが、喫煙となると話しは別です、釣り場で煙草を吸っていても、それが釣り場での事故に繋がる事はありませんし、

誰にも迷惑をかけているとも思っていませんでした。

友人から吸殻をポイと捨てたら道糸に触れ、道糸が切れた話を聞かされた事があります。

道糸の途中からと仕掛けの全てがフイになったわけです。せいぜいそれ位の被害で済みますが、

海に捨てたタバコの吸殻は如何なるのでしょうね。

きっと海の中でフィルターは分解され、ニコチンは海水に溶けるのでしょう、魚に与える影響は如何なのか、

そんなこと考えると吸えなくなりました。

実は正直な話、捨てた吸殻が海の中で如何なるなんて考えた事がありませんでした。

今までは堤防の上でも無意識に吸殻をポイと捨てていた私です、タバコを吸う人は誰もがやっている事ですが、

改めて考えてみるとやはりいい事ではありません。

公徳心に欠けた行為でした、私一人が吸殻を捨てなくても釣り場が綺麗になる事はないと思いますが、

この際だから私も禁煙する事にします、こんなに簡単に決意していいのでしょうか。

私が二度目の禁煙の決意をするきっかけとなったのは、トラギスさんの禁煙のエッセーを読んだ事でした、

今は、ただ二度目の挫折にならない事を祈るしかありません。

実は私が禁煙を決意するのは、二度目になります。

一度目はシンガポールから会議で日本に帰国していた時に風邪を引いてしまい、タバコが吸えなくなり、

体の事も考え禁煙を決意したのです、そして禁煙に成功したと思っていたら、半年後に失敗に終るのです。

十年以上も前の話になりますが、私が禁煙して半年位たっていた頃の話です。

会議で日本に帰国した帰りの大阪―シンガポールの飛行機に乗っていた時の話ですが、

当時はまだ喫煙席が飛行機の後部にあったのです、禁煙席が満席だったので仕方なしに喫煙席に座席を取ったら、

隣が台湾の人だったのです、それが私にとって悪夢の始まりになるなんて考えもしなかった事で、

そしてそれが禁煙の挫折に繋がろうとは思いもしませんでした。

その台湾の人は自分がタバコを吸う前に、両手でタバコの箱を持ち、そして「どうぞ吸いませんか」と私に勧めてきたのです。

「私は半年前から禁煙していますので結構です」と断りましたが、返す言葉で「この飛行機の中だけ、どうぞ吸って下さい」

と云われて私も安易に考えてしまいました。

この飛行機の中だけならいいやと思ってしまいました、そして一本吸ったのは良かったのですが、しばらくしたら、

「どうぞ吸いませんか」とまたまた喫煙のお勧めが始まりました。

一本も二本も一緒だと、えいやあと吸ってしまいました。

そして、その飛行機の旅も六時間で終ったのですが、シンガポールの免税コーナーでタバコをワンカートン買ってしまい、

それから私の喫煙が再び始まり、それ以来吸い続け今日に至ったのです。

家で吸う時には台所の換気扇を回して吸う事にしていましたが、それでも家族からは白い目で見られていたのです。

自分では気が付かないのですが、相当にタバコの匂いがするらしく、犬のはなこは恨めしそうな目で私を見つめて、

即座に逃げて行きます。

はなこははからは気持ちが悪くなるとか云われても、懲りずに吸い続けていました。

しかし、歳には勝てません、朝起きるとニコチンで口の中が苦く、うがいをしないと気持ちが悪くなります。

長年の喫煙による、どうせ真っ黒にニコチンで汚れた肺から、寝ている間にニコチンが喉に出てくるのでしょう。

別に長生きしたいとは決して思ってもいませんが、別に早く命を落とす事になるかも知れないのに、

無理して吸い続ける必要もないと思い始めました。

経済的にも無駄な出費となりますし、この際、愛する我が家の住人の為にも、そして釣り場の為にも禁煙を決意しようと思います。

今あるタバコは捨ててもいいのですが、あるだけは折角買ったのですから、吸い終わったら禁煙する事にします。

さあて、皆様果たしてこんな私に禁煙が出来るでしょうか。