『誘拐事件?』

トラやん記


やっさんこと叔父貴たちGC仲間と鳥羽に行った時のことである。

近鉄最終電車で鳥羽駅に下りた我々は守山岸壁と言う所で竿を出すことにした。

季節は冬で、狙いものはカレイ、アイナメかもしくはスズキだった。

国道が後ろにあり、街灯も適当に点いているので、釣り座としては申し分ない

ポイントだった。三々五々に別れて、竿を出していたが、ここは夜中でも

カレイが釣れると聞いていたが、本当にタクちゃんという外道キャスターズの

最若手がマコガレイの良型を釣った時は驚いた。

スズキとまではいかないが、セイゴや白グチ、マハゼなどが退屈しない程度に

釣れていた時、この事件が起こった。

後ろの道路を走っている車が急停止し、女性の金切り声が聞こえて来たのである。

「スワ、一大事!」とばかり、仲間全員で現場に走った。

止まっている車の中では二人の男女が何やら揉めている。

そのうち、女性が車から降りようとしていたので、これはてっきり「誘拐事件発生」と

思い込んだ我々は車中の男性に「何してんや!」と叫んだ。

女性を見ると泣いている。男性は「喧嘩をしていただけです」と答えたので

今度は女性に「ほんまか?」と聞くと軽くうなずいた。そして、また車中に戻った。

「何や、ただの恋人同士の内輪もめか?アホらしい」と言って竿の所に我々も

戻った。いきなり人相風体の悪いおっさんが走って来たので男性も最初は

怖かったのだろう。丁寧な口調だったが、発進するときは睨んでいたのが

印象的だった。最近の暗いニュースを見ていると何故か、この事件を

思い出すのである。